訳者あとがき

 ここに掲げた文章は、ロブ・ギャラガー著「The Rickshaws of Bangladesh」(ISBN 984 05 1182 3) 第1章本文の全訳である。本書は全15章からなり700ページに迫る大作である。第1章はその要約の形になっているので、著者の言わんとするところはこのわずかな紙面からでも十分に伝わってくる。

 本書では、ただ漫然とリキシャに乗っていたのでは見えてこないバングラデシュ・リキシャ世界の全体像が、豊富なデータと引用によって明らかにされてゆき、バングラデシュを理解するための優れた資料となっている。

 リキシャの存在というのは、それを全く利用しない人々にとってはやはり邪魔物でしかないのだろうし、日常的に利用する人々にとっては、なけなしの金を守るために戦い(値切り)を挑む相手と映るのかもしれない。

 協力隊員はリキシャを利用する側に立っており、かといって数タカの料金に窮するほどお金に困っているわけでもない。著者と視点を共有できる部分は多いと思う。そして、リキシャがバングラデシュ社会の中に占める位置を理解したとき、私たちのリキシャを見る目も変わってくるのではないだろうか。

 この文章が隊員各位の任国理解の一助になってくれれば、訳者として無上の幸いである。

1995年4月17日
酒井泰幸


Contact Webmaster