16.ロンプール駅の朝

 朝7時5分発の列車に乗ろうと、夜明け前のロンプール(Rangpur)駅へ、私は友人に送られてやってきました。
 11月の朝6時前は、まだ真っ暗です。切符売り場はまだ閉まっています。プラットホームへ出てみると、裸電球の薄明かりの中、辺り一面に人が寝ています。明らかに乗客ではないとわかります。駅の屋根の下で夜を明かすホームレスたちです。異様な雰囲気にぎょっとして、私たちは駅を出ました。
 駅前のカレー食堂はこんなに朝早くから開いています。調理場ではルティーの小麦粉をこねています。これを平たく伸して鉄板で焼くのです。灯油バーナーの音が、ごうごう聞こえています。友人と一緒に、まずはチャーで冷えた体を温めます。それからルティーとバジー(野菜のカレー炒め)で腹ごしらえします。チャーをおかわりしながら、ここで夜明けを待つことにしました。
 外が明るくなってきたので駅へ行ってみると、もう切符売り場は開いていました。私はジャマルプールまで1等の切符を買って、朝日の入ったホームへ出ました。寝ている人たちはもうほとんどいなくなっています。遠くの木々は朝もやにかすんでいます。オレンジ色の朝日はまだ低く、もやの中に出ています。ホームの向かい側には貨物の駅舎があって、貨車が何両か止まっています。ホームのはずれの方に人々が集まっています。サリーを着た女たちが地面に鍋釜を据えて飯を炊いています。羊を3頭連れた子供が線路を歩き、枕木の間に生えた草を羊に食わせています。朝露が日の光を受けてきらきら輝いています。
 井戸で水をくんでいた女たちが線路で言い争いを始めました。男たちが仲裁に入ります。遠く霧の中からプァ〜ンと警笛が聞こえます。列車がやってきます。女たちは線路からホームへ引き揚げます。前照灯とエンジンの音が、だんだん近づいてきます。朝の静けさを破って、列車はがたんごとんと駅に滑り込んできます。
 私は友人に別れを告げて、列車に乗り込みました。


Copyright (C) 1998 Yasuyuki Sakai