チッタゴンからは、ダッカやシレットへ行く本線の他に2本のローカル線が出ています。このうちの一つであるドハジャリへの路線は、チッタゴン港へ流れ込むコルノフリ(Karnaphuli)川を鉄橋で渡っていきます。このカルールガート(Kalurghat)橋は、人や車も通れる併用橋です。現在は下流に新しい橋ができたため主役の座を降りていますが、この道路はコックスバザールへ行く街道になっています。
ここを通る列車は1日に上下各3本です。夕方近く、道路から鉄橋を訪れました。

鉄道は緩やかなカーブを描いて鉄橋への坂を上ってきます。道路は橋のすぐ手前で線路と合流します。橋のたもとには信号小屋があって、赤い旗が出ています。鉄橋は単線の幅しかないので車がすれ違うことができません。今は橋の向こうから車が来ています。こちら側にはベビータクシーが数台と徒歩の人が、信号が変わるのを待っています。向こうからの車が途切れ、小屋の番人が旗を赤から緑に取り替えると、待っていたベビータクシーがエンジンをかけて走り出します。

川幅は300メートルほどあります。橋脚も橋桁も赤い鉄骨でできています。中央部は下に船を通すために鉄骨のトラスが橋の上にありますが、その他の部分には欄干があるだけで視界を遮るものはありません。路面はアスファルトで舗装されていて、路面電車の線路のようです。鉄道はメートルゲージの単線なので、もともとあまり幅は広くありません。途中に何カ所か待避所が設けられています。すれ違いのためというよりは、歩行者の展望台でしょうか。夕暮れ時は暑さも和らぎ、散歩に出てくる人が多いです。

橋から上流を見ると、遠くに山がかすんで見えます。山と川と緑のある風景はどことなく日本のようでもあり、山のないバングラデシュでたまにこのような景色を見ると心がなごみます。竹を束ねた筏(いかだ)がいくつも数珠つなぎになって、濁った川をゆっくり下ってきます。竹は建築資材になります。川を行く小舟は舳先が反り上がっていて、波の高い海岸地方に特有のものです。

橋を渡りきったところにもう一つ信号小屋があって、道路はまた線路から離れていきます。信号小屋の裏手には錆びた無線塔が立っています。バングラデシュの独立宣言はここからラジオで送信されたのだそうです。

鉄橋を渡ってきたバスは超満員で屋根まで人が乗っています。街での勤めを終えて家に帰る人たちでしょうか。
