12.ダッカ市内の廃線跡

 ダッカの市街図を見ると、鉄道好きにはピーンとくる道路があります。緩やかなカーブを描く廃線跡です。

 現在の線路はテズガオ駅から東へカーブしてしばらく進み、再び南へカーブしてダッカ・コムラプール駅に入ります。ナラヨンゴンジ行きの線路はここからしばらく南へ進んだ後、南東にカーブして行きます。
 問題の道路は、ショナルガオンホテルの前からまっすぐ南へ向かうと、大きく弧を描いてグリスタンを通り、コムラプール駅の南でナラヨンゴンジ行きの線路に合流しています。こちらに線路があったのは第二次大戦の頃までで、駅はグリスタンにあったそうです。
 鉄道の常で、線路は敷設当時の市街地の輪郭をなぞるように走っていました。旧線路跡とブリゴンガ川に挟まれた一帯は、曲がりくねった狭い路地が印象的なオールドダッカです。ロムナパークは郊外に作られた競馬場でしたが、イギリスから独立後に競馬場は廃止されて公園になりました。ダッカスタジアムとこれに隣接するバイトゥル・ムッカロム(国立モスク)は、もとは軍隊の駐屯地でした。これらを飲み込んで、ダッカの市街地は北へ膨張していったのです。
 廃線跡を歩いてみましょう。ショナルガオンホテルからしばらくは、肉屋などが並ぶバザールになっています。それからペットショップ街があり、小鳥や観賞魚、飼育用の水槽などを扱う店が並んでいます。ダッカの町中にしてはあまり開けた感じではなく、道の形も線路の雰囲気を残しているので、蒸気機関車が走っていた時代を想像してしまいます。ニューマーケット裏を抜けると、ダッカ大学の塀沿いを走ります。道の両側から大きな木の枝が道路に覆い被さり、閑静な雰囲気です。ダッカ大学はもともと王侯が郊外に持っていた土地に建てられたものです。周囲を威圧するダッカ市の新庁舎前を通ると、今もバスの発着でごった返すグリスタンです。


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